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ビアンキュイ特別インタビュー

“成長することが
楽しかった” 修了証検定で児玉シェフを
うならせたロデヴ

2022年2月にビアンキュイの修了証検定が行われました。実際にご自身で焼いたパンをシェフがひとつずつ審査していきます。

マスターの検定審査中思わずシェフが声をあげてしまうほど、見事な出来のロデヴがありました。このロデヴを焼かれたのはビアンキュイの会員の前田典子さん。今回は児玉シェフを交えて前田さんにお話を聞かせていただきました。

最初に少しだけビアンキュイの修了証検定の仕組みについて説明させていただきます。
ビアンキュイの修了証は、ベーシック、アドバンス、マスターの3段階があり、アドバンスとマスターでは実際に受講者が提出したパンそのものをシェフが直接審査して合否を決めています。これは公開収録の教室に通っている方も、ウェブでレッスン映像だけを視聴しながら受講している方も同じです。

毎回シェフの厳しい審査内容を私どもが記録し、その内容を修了証の受講者にフィードバックしています。ご自身でつくったパンをシェフの視点で、よく出来ている点と、改善すべき点をわかりやすく説明していただくこのフィードバックはとても好評で、ご自身の課題を認識していただくことにより、さらなる成長の糧にしていただいています。

2022年の検定でおきた
「満点合格」

アドバンスとマスターの修了証検定は特にレベルが高く、それぞれ1年の受講で合格されるかたの方が少ないくらいです。2年、3年と挑戦される受講者がたくさんいます。課題を一通りこなせばまず合格します、という内容ではありません。

前田典子さんが検定時に提出したロデヴの記録写真
前田典子さんが検定時に提出したロデヴの記録写真

そのような中で、今年はシェフや我々が想像もしていなかったような事態が起きました。マスタークラスで、驚くほど完成度の高いパンが提出されてきたのです。評価項目である6つのポイントがすべて満点。児玉シェフの表情もあまりの驚きのせいでしょうか、顔色が変わっています。

これほどとびぬけたパンが提出されたのは、ビアンキュイの検定の歴史の中で初めてです。

「見てごらんよ。」

児玉シェフが、私に提出されたロデヴを渡してきました。その断面はいつも見ている児玉シェフのそれとそっくりで、見違えるほど。

「これは、本当にいいよ、100点だよ、これは。」

もちろん試食しても、香り、食感、味ともに申し分ありません。児玉シェフが感心したように何度も繰り返していたのが印象的でした。

このパンを提出された会員は前田典子さん。何年もビアンキュイに通っていただいている会員の方です。

そこで今回、マスターの修了証の授与式の後に、児玉シェフを含めて前田さんにインタビューをさせていただきました。

前田典子さん
前田典子さん

「毎日写真を撮って
データを記録しました」

――マスターの取得おめでとうございます。少しお話を聞かせていただきたいのですが、まず今回の検定で苦労されたところはどんな点でしょうか?

前田さん ロデヴという課題は、児玉シェフのロデヴを以前にいただいてそのおいしさにすごく感動していたので、そのおいしさを体験したいという想いがモチベーションに繋がりました。 ロデヴはルヴァンリキッドを使うんですけど、ルヴァンリキッドはまったく作ったことも使ったこともなかったので、まずそこが大変でした。でもシェフのルヴァンリキッドを見させてもらっているので、それはとても参考になりました。

――1年間をかけての履修ですが、2月の提出に向けて練習というか、何回ぐらい焼かれましたか?

前田さん 12月までは最低でも毎週1個は作りました。1月に入ってからはほぼ毎日焼いていました。どうやって焼いたロデヴを消化していくかも大きな問題でした(笑)。ロデヴに合う料理を作って食べるとか、知り合いにもらっていただいたとか。

12月までは作るごとにうまく出来たり出来なかったりのブレ幅も大きかったのですが、1月になって毎日作るようになるとルヴァンも安定してきましたし、焼き上がりもだんだん安定してきました。

毎日、焼きあがりの写真を撮ってその時の工程のデータを記録して、この時はこねあげが何度だったとか、バシュナージュのタイミングだとかによって「焼き上がりが良くなったなぁ」とか、「悪くなったなぁ、前のほうが良かったなぁ」という感じで自分なりに作り方を詰めていった感じです。

児玉シェフ そうだね、それがホントに生地に向き合うっていうことですね。

前田さんと児玉シェフ
前田さんと児玉シェフ

前田さん そうやって自分なりに工程を詰めていきながら、またレッスンのビデオを確認して「ここはまだシェフの感じと違うなぁ、どうすれば近づけるかなぁ」と考えて試してみるという繰り返しでした。

――まさに、時間ではなくて見極めで生地を作るということの実践ですね。繰り返し確認できるという点もビデオレッスンだからこその利点を活かしていただけたようでうれしいです。

「このロデヴは別格ですね」

――児玉シェフにおうかがいします。過去にもマスターの検定を合格された方も何人もいらっしゃいますが、今回の前田さんのロデヴは少し違ったというか、インパクトがあったということですが。

「内層だけでなく味も香りも満点」と児玉シェフ
「内層だけでなく味も香りも満点」

児玉シェフ まず、内層が完璧なんですよね。これは生地の扱い方がきちんとできてないと実現できないレベルで。もちろん生地作りがきちんとできてないとダメなんだけど、実はそれ以外にも生地の扱いが内層に影響を与えちゃう。下手にというか雑に扱うと、たとえばパンチの打ち方とか、分割の仕方とか、そういうところで生地の向きが変わってくるんですよね。かごに入れるときもちゃんとした入れ方でいれないとダメ。そういう意味で前田さんのパン作りの姿勢というものがはっきり出ていて、本当にきれいですね。

――審査の時も、見た瞬間シェフの表情が変わった感じでしたね。

児玉シェフ いままで何人もの人がマスターを合格していて、こういう言い方はその人たちに対して少し申し訳ないという気もするんだけど、本当に今回の前田さんのロデヴは別格という感じでした。それくらい衝撃的なロデヴでした。

前田さん 本当ですか!ありがとうございます。

成長が楽しい

――ビアンキュイの主宰者としていつも思うんですが、アドバンスやマスターの合格基準が厳しすぎるんじゃないかということが気にかかっています。誰もが簡単に合格するレベルではないので、受験される皆さんも苦痛なんじゃないだろうかという感じがしていまして。そういう意味で前田さんにとってどういう気持ちで取り組んでいらっしゃったのでしょうか。正直、つらいと感じたことはありませんでしたか?

前田さん つらいとか、大変だったっていう感じはあまりありませんでしたね。

「大変だったとは感じませんでした」と語る前田さん
「大変だったとは感じませんでした」

――それはなぜですか?

前田さん どんどん変わっていったから。ルヴァンリキッドとか焼き上がりとか、変わっていくと気持ちいいなぁと思って。それに失敗しても穴が開かなくても、食べてみると美味しいので(笑)。面白かったです。間をあけずに、続けて作っていくと意外とうまくいくというか、どんどん変わっていくように思います。

児玉シェフ 家庭用機材でここまでのパンが焼けたら、パン屋さんもお手あげだね(笑)。

――「道具ではなくて技術が大切」ということをビアンキュイではずっと提唱してきたわけですが、マスターという非常にレベルの高い試験に挑むにあたって、小型の業務用のオーブンやミキサーが欲しいという想いはありましたか?

前田さん 私のパンづくりのベースは家庭ですから、業務用の機材が欲しいとおもったことはないです。私の感覚では、家庭用のオーブンでも今のものは十分な性能を持っているような気がします。ただ焼成温度や焼成時間は、シェフのレッスンでの数値と自宅のものとで違いが出ますのでそこの調整は少し気を遣います。

児玉シェフ もちろん業務用のオーブンと比べれば家庭用のものは全然力も弱いし、熱の入り方は違ってきます。そういう意味では難しいかもしれないけど、少なくても僕がレッスンで教えてるパンに関しては、十分に焼けるわけです。

「ビアンキュイのレッスンなら家庭用のオーブンで十分」と児玉シェフ
ビアンキュイのレッスンなら家庭用のオーブンで十分

――改めてここまで素直に「道具じゃなくて技術」というメッセージに共感していただけると私たちも本当にうれしいですね。とても参考になりました。本日はありがとうございました。

「道具ではなく、技術」
という
ビアンキュイのコンセプト

ご家庭で本格的なパンを焼くということが以前に比べてだいぶ広まってきているようです。パン作りを趣味にすると、その奥深さに気がつき知らず知らずのうちに夢中になってしまう方も多いようです。

趣味となると、やはり道具にも凝りたくなってくるのがごく自然な流れであり楽しみでもあります。予算やスペースが許す限り、よいものを手に入れて使いこなしてみたくなるのはパン作りに限ったことではありませんし、いろいろな道具を集めたくなることもあります。

ここでポイントになってくるのが、技術と道具の関係。良い道具を持つに越したことはありませんが、技術がなければ道具も活きてきません。

ビアンキュイではひたすらに「誰でも美味しいパンを家庭で焼けるように」ということをコンセプトにしてきました。そのために「技術」を身に着けるパン作りを推奨し、全国どこでも手に入り利用できる最低限の道具で、パン屋さんも美味しいと認めるようなパン作りをシェフに考案していただき、レッスンをわかりやすく編集してお届けしています。

でもシェフの言う「技術」を身につけること、決して簡単な道ではなく、「技術」への正しい理解と、作り続けるという努力によって会得できるという、あたりまえながら厳しいものとなります。「誰でも、手軽に、簡単に」という今風のものとは異なるものとなりました。

理想的ではあっても、実際には厳しぎるのかな?というような思いを重ねながら運用してきた中で、このようなパン作りをされた前田さんは、シェフにとっても私どもにとっても驚きであり喜びであります。

簡単ではなくても、「本物の技術」と「家庭でもできる本当に美味しいパン作り」を伝え続けてきてよかったという気持ちでいっぱいです。手作りのおいしさはご家族をはじめ多くの人を幸せにしてくれます。ビアンキュイを通じてたくさんの人に幸せをお届けできればこんなに素晴らしいことはありません。

そんなシェフと私共の想いがこもったビアンキュイ修了証への、全国のみな様のご参加をお待ちしております。


本物の技術を
ご家庭で学ぶなら
ビアンキュイ。

あなたのパン作りが確実に変わります。

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